●起床は六時。完全に寝不足だが、朝は時間に余裕が欲しいのでがんばって起きる。大浴場で体を目覚めさせ、ポメラで少し日記を書く。七時半にホテルをチェックアウトして、倉敷駅のパン屋のイートインで朝飯。改札前に集合して、電車で清音駅へ。駅にスタッフの方が迎えに来ていただいており、会場へ。
●今日はイベントの二日目、「巡・金田一耕助の小径」学会である。毎年のことだが、発表者それぞれのレベルの高さと扱う対象の幅広さに驚く。発表の内容は後日学会誌としてまとめられ、参加者のもとへ送付される。諸般の事情で学会誌は一般販売しないということなので、詳細を知るのは参加者だけの特権である。九件の発表それぞれのキーワードだけ記すと、巡礼、神楽、鍾乳洞、機関車、待合、病理、対立、叫び、佳人。
●イベントが終わると、参加者それぞれが思い思いに、帰路に就いたり別方面に足を延ばしたり。一緒に倉敷駅に戻ってきた馴染みの方々も、帰りの交通手段は様々である。飛行機、新幹線、夜行バスといった具合で。私は寝台特急を利用する。
●五人で倉敷駅前のコーヒーショップに落ち着き、少々お喋りして四時過ぎに解散。そして特急の岡山発は十時半である。多少なりとも待ち時間を潰すために、岡山駅近くの居酒屋に行こうと思う。去年行って、なかなかいい感じだった店だ。
ところがその店が、まさかの休み。しょうがないので駅構内の立ち飲み屋に引っかかることにする。といっても立ち飲み屋にそうそう長居できるものではない。六時半には切り上げて、もう改札を通ってしまう。改札内のベンチに腰を据え、これから四時間を過ごすのである。ある程度待つのは分かっていたから、あらかじめ駅ビルの三省堂で本を買ってある。
●あとはもうただ本を読み、ただぼんやりし、時折ツイッターを覗いて時間を潰すしかない。ようやく出発時刻となり、寝台特急サンライズが岡山を離れる。夜行列車に乗るのは一年ぶりである。個室寝台の部屋の明かりを消して外を眺めると、叢雲に月が明るく、夜空の紺と山の紺との濃さの違いで、稜線がぼんやりと見える。人家の明かりが遠くにぽつりぽつりと灯っている。そんな風景を眺めているとグッとくる。