累風庵閑日録

本と日常の徒然

『法螺吹き友の会』 G・K・チェスタトン 論創社

●『法螺吹き友の会』 G・K・チェスタトン 論創社 読了。

 これはしんどい。何度か読み返しても文章の意味が理解できない個所がちょいちょいあって、そんなときは今いったい何を読んでいるのか分からないまま、視線が紙の上を滑っていくばかり。虚しさにストレスが溜まる。しかも内容は、慣用句をストーリーに仕立てたナンセンス小噺のようなもので、はっきり言って他愛ない。

 基本的に一話完結だが相互に緩やかなつながりがあり、やがて全体が一つの物語になる。一人また一人と「友の会」のメンバーが増えて、それぞれのエピソードが積み重なってゆく大きな流れをたどるのはちょっと面白かった。細部に対する理解は心細くても、そのくらいの大掴みな理解はできる。

 再読を繰り返せばそれなりに理解が深まっていきそうではある。けれど、再読したくなるほどの魅力を感じていないのが困りもの。

 表題作は以上のようにちと残念な読後感だったが、同時収録の三編はよほど理解しやすかった。中でも「白柱荘の殺人」は秀逸。

 ところで、巻末の訳者あとがきを読んでふと疑念が生じたのだが。「表記や文体に関して自己流を通すわたしの訳文」とある。この読み辛さは、もしかしてチェスタトンの原文が晦渋なことだけが原因ではないのかも。もしかして、他の訳者が手掛けたらもう少し理解しやすい文章になりはしないか。本書の訳はきっと文法的には正確なのだろうが、英語が堪能だということと、小説の翻訳が上手いということは違うと思う。

●現住アパートの賃貸契約を更新する旨、不動産会社に連絡。手続きに伴って、これから更新料が発生する。二年毎の契約だから、更新のタイミングは車検と同じ年度になるわけで、今年は何かと物入りであるな。

●ようやく、ああ、ようやく、北海道立図書館から資料複写の請求書が届いた。待っていた。依頼してから四週間半かかった。明日代金を振り込んで、そいつが確認された後に資料が発送されるから、ブツを入手できるのは来週月曜くらいか。