累風庵閑日録

本と日常の徒然

『さまよえる未亡人たち』 E・フェラーズ 創元推理文庫

●『さまよえる未亡人たち』 E・フェラーズ 創元推理文庫 読了。

 オープニングがわくわくする。主人公が出かける休暇旅行の始まりが、飛行機、鉄道、船と乗り継ぐ様子とともに語られる。こういうのを読むと旅行に行きたくなるし、来月予定している某イベントへの期待も高まろうってものである。

 肝心の、ミステリとしての出来栄えも上々である。まず、手掛かりの出し方が絶妙。それに、表面に見えていた枠組みがわずかなロジックで一変する面白味は、これぞミステリ、である。今年初めての、何の保留もなく素直に面白いと思える本であった。