累風庵閑日録

本と日常の徒然

『海を失った男』 T・スタージョン 晶文社

●『海を失った男』 T・スタージョン 晶文社 読了。

 スタージョンをまとめて読むのは初めてである。この作家も香山滋と同様、出会うのが遅すぎた感がある。「三の法則」なんか、学生時分に読んだら手もなく感動していたかもしれない。本を読めば読むほど、自分がいかに本を読んでいないかが見えてくる。

 「三の法則」のような、定まらない未来に対する希望と不安の物語は、今の私にはどうもしっくりこない。むしろ「墓読み」の、定まった過去と結論の物語の方が胸に響くものがある。この作品はずば抜けて面白かった。