累風庵閑日録

本と日常の徒然

比丘尼御前

●確定申告の記入を終え、一連の書面を印刷した。これからしかるべき箇所に押印して、関係書類を同封して、郵便局に持って行かねばならない。まだもう少し、面倒な手間が残っているのであった。やれやれ。

 今年は結局、まとまった額が還付されることになった。還付金が振り込まれたら、その金で温泉にでも行ってこましたろかしらん。

●昨日の話の続き。「怪談五色猫」の改作だという、不知火甚内シリーズの「比丘尼御前」を読む。手に取ったのは、昭和十七年に文松堂から刊行された『南無三甚内』である。

 残念ながら時間に余裕がないので、きちんと読むのは後日の事にして、ざっと流してみた。結論として、「怪談五色猫」を発想のベースにしたらしいことはうかがえるが、全編に渡ってまるで別の話になっている。

 共通点はふたつ。ひとつは、狂言作者とその娘とが重要な役回りで登場すること。ただし、それぞれにおける役割はかなり違う。もうひとつは、姿が見えると御家に凶事が起きるという、妖怪とも祟り神ともつかぬ存在が語られること。それが鷺十郎および佐七版では「刑部(ぎょうぶ)さま」で、甚内版では題名にもなっている「比丘尼御前」である。

 いつか折を見て、『南無三甚内』をきちんと読まないといけない。宿題にしておく。