累風庵閑日録

本と日常の徒然

京都旅行

●早朝の電車で東京へ向かう。今日から二泊三日で、京都旅行に出かけるのだ。東京駅から新幹線で西へ向かい、十時過ぎに京都へ到着。「京都観光二日乗車券」を購入して、地下鉄でいったん今晩のホテルへ向かう。まず荷物を預けておいて、さて観光の始まりである。

●地下鉄今出川駅から相国寺へ。臨済宗相国寺派大本山で、京都五山第二位の名刹である。法堂が特別公開されているのを拝観し、狩野光信の巨大な天井絵「蟠龍図」を見上げる。櫓を組んで直接天井板に描いたという絵の迫力が、凄まじい。

●この調子で書いていくと長くなり過ぎるので、以下行った場所と観た物を箇条書きにする。
承天閣美術館で伊東若沖の鹿苑寺障壁画。
相国寺養源院で秘仏毘沙門天像の特別公開。
大徳寺で重文の勅使門、山門、仏殿と、特別公開の方丈。
大徳寺芳春院で呑湖閣。
大徳寺大仙院で本堂、書院とその庭園。

●時刻は三時を過ぎた。時間的にはもう一カ所くらい行けるのだが、明日もあることだし、今日はこの当たりで切り上げることにする。途中のスーパーで酒と肴とを調達し、今晩は部屋飲み。夜になって外に飲みに出かけるのも億劫だし、節約できるところは節約しなければならない。

●今回は冬の特別公開をメインに観て回るつもりである。ところが今日の一日で、少々困ったことが判明した。特別公開の施設ではどこも説明員を配置して、懇切丁寧な解説をしてくださる。いろいろな情報が得られて大変有意義なのだが、いい事ばかりではない。

 説明員殿の誘導があまりにもてきぱきとしており、はい次はこちら、それでは次はこちらと、慌ただしい。自分のペースで拝観できないのである。やや疲れてきて集中力の衰えた状態で訪れた大仙院なんざ、俺は果たして大仙院をちゃんと観たのかと、自問したくなるほどである。

 せっかく京都の古刹に足を運んでいるのだから、由緒ある庭園を眺めつつ、早春の暖かな日差しを浴びながら、ぼんやりしたいではないか。気に入った襖絵の前で、ずっと眺めていたいではないか。これは観る側の、心構えと行動パターンの問題である。明日は、説明員殿のお言葉を傾聴しつつ、適度にタイミングをずらしてゆったりと拝観しようと思う。

●ホテルの部屋に入って昼寝し、ポメラで今日の日記を書く。適当な時刻になったら、ゆっくり飲み始める。明日も早いので、さっさと寝てしまうことにする。