累風庵閑日録

本と日常の徒然

『殺意が芽生えるとき』 L・ダンカン 論創社

●『殺意が芽生えるとき』 L・ダンカン 論創社 読了。

 読み始めてすぐに分かった。これは好みじゃないタイプの作品だ。内容は、過去と現在のメロドラマが二割、周囲の人間に対する主人公の不平不満が二割、主人公があれこれ思い悩む描写が三割、そして事件の顛末が三割といったところ。それにしてもこの手の小説の主人公って、どうして揃いも揃って大事な証拠を隠し、揃いも揃って大事なポイントで嘘をつくのか。

 途中であれっ、と思う急展開が何度かあったので、それを頼りにどうにかこうにか最後まで読めた。そして、最後の急展開はなかなかのもの。実はかなりとんがったネタが隠されていたのは驚き。その点は、読んでよかったと思う。全体的には、まだあとこんなにあるのかと、残りページを数えながら読んだ。こんなしんどい本は久しぶり。