『小栗虫太郎集 完全犯罪』 ちくま文庫

●『小栗虫太郎集　完全犯罪』　ちくま文庫　読了。

　年齢とともに食の好みが変わってくるというのは、よくある話だ。似たようなもので、小説の好みも年齢とともに変わってくるのかも知れない。虫太郎流の超論理に面白味を感じなくなり、気持ちがすっかり冷めてしまうと、あとはもう何をどうやって楽しめばいいのか分からない。

　それに、年齢とともに消化吸収能力も弱ってくる。半月以上の休止期間を挟んでどうにかこうにか読了したわけだが、はたしてこの濃さをどれほど受け止めることができたのやら。覚束ないことである。一応最後まで目を通したが、ただ読んだだけ、に近い状態である。