累風庵閑日録

本と日常の徒然

『シャーロック・ホームズの大冒険(下)』 M・アシュレイ編 原書房

●『シャーロック・ホームズの大冒険(下)』 M・アシュレイ編 原書房 読了。

 上巻は去年読んだ。ホームズ・パスティシュ集だが、いかにも本物のホームズ譚らしいと思える作品は案外多くない。ついつい独創性を発揮しすぎたり、ホームズ・トリヴィアを少々盛り込み過ぎたりの作家が多いようだ。

 最も本来のホームズものらしいと思ったのは、ベイジル・コッパー「悩める画家の事件」であった。読んで面白かった作品としては、マッド・サイエンティストものの不気味さがあるスティーヴン・バクスター「慣性調整装置をめぐる事件」、時間的にも空間的にもスケールの大きなマイケル・ドイル「レイチェル・ハウエルズの遺産」、使っている題材が意外なF・グウィンブレイン・マッキンタイア「ウォリックシャーの竜巻」を挙げておく。