累風庵閑日録

本と日常の徒然

『死の翌朝』 N・ブレイク 論創社

●『死の翌朝』 N・ブレイク 論創社 読了。

 怪奇趣味もなし、派手な外連もなし、奇天烈な不可能犯罪もなしで、実にお行儀のいいミステリ。ナイジェル・ストレンジウェイズシリーズの最終作で、人物造形に重点を置くブレイク流ミステリの、ひとつの到達点ということか。実際、意外性にはあまり重点を置いていないようで。犯人も犯行方法も、(以下、二つの文を非公開)

 意外性に乏しいというのは、私自身の問題もある。前半で犯人が分かってしまったのだ。もちろん推理によって導いたわけではなく、ミステリ的定石で判断したものでもない。うっかり訳者あとがきを先に見てしまったせいである。

 普段ミステリを読むときには、事前の情報を極力シャットアウトしている。あらすじは読まないし、あとがきも解説も読まない。ミステリファンの感想ブログも読まない。帯の文字すら目に入らないように、本にはカバーをかけている。ところが今回、どんな気まぐれか巻末の訳者あとがきをぱらぱら眺めていて、「(伏字)が謎を解く一つのポイントになっている」という文が目に入ってしまった。こんなことが書かれてあったら、(伏字)が絡む人物が犯人に決まっているではないか!!!!!

 いつものルールを曲げて、ついあとがきを読んでしまった己のうかつさに呆れる。残念、というのが一番の感想である。それにしてもこの訳者氏、あんなことをしれっと書くとは、犯人捜しミステリに関わるのは初めてなのだろうか。

●どうやらはしかが流行しているそうで。幼い頃予防注射をした記憶はあるのだが、話に聞くと抗体というのは、年月を経るに従って次第に弱くなっていくらしい。念のため、近所のクリニックにはしかの抗体検査について問い合わせた。そこでは予約なしで対応していただけるという。とかく世間の流行ものには疎いしあまり興味もないのだが、こういう「流行もの」はシャレにならない。近いうちに抗体検査を受けに行くことにする。