●『閉ざされた庭で』 E・デイリー 論創社 読了。
地図が欲しい。庭園を構成する要素である、花畑、バラ園、道具小屋、温室、ロックガーデン、菜園、果樹園、池、それらを巡る小道。これらの配置が文章のみで説明されていて、実際どうなっているのかちっとも分からん。そのせいで、関係者達が犯行前後にどのように行動したのか、全然具体的にイメージできない。
見取り図が欲しい。屋敷の構造と部屋の配置とが文章のみで説明されていて、実際どうなっているのかちっとも分からん。そのせいで(以下略)
真犯人はさして意外ではない。……というのは正しくニュアンスを表していない。正確には、作者が用意していたかもしれない意外性を、私が読み取れなかったのである。なにしろ、犯行時の関係者達の状況を把握できていないのだから、意外性も何もあったもんじゃない。誰それが犯人だと指摘されても、ふうん、あっそう。ってなもんである。だが、事件の全体像はかなり意外で、この点は大いに感心した。
全体的には、クラシカルなミステリのいかにもな雰囲気にそこそこ満足できた。郊外の邸宅に集った人々の間で殺人が起き、中盤ではひたすら警察の尋問シーンが続く展開は、懐かしさを伴う型通りの面白味がある。
デイリーは初めて読むが、私の趣味に合う作家かどうか、ひとまず判断を保留する。今後、他の訳書も読んでみなければなるまい。そして次を読む際には、手掛かりの出し方に注目しようと思う。探偵役ガーメッジが真相について確信を持ったのは、(伏字)がきっかけだったわけだが、読了後にその部分を読み返しても、到底ガーメッジと同じように受け取ることはできなかった。ましてや読んでいる途中では、そんなの気付くわけないだろ、と思ってしまう。もしかしてデイリーって、あまりにも些細すぎる手掛かりを出すタイプの作家なのかもしれない。そういう作風は、実は嫌いではない。
●読了した論創海外を並べている本棚代わりのカラーボックスが、とうとう満杯になってしまった。なんたることか。どうしよう。
●近所のクリニックで、はしかの抗体検査を受けてきた。採血して、結果は一週間後に判るという。そういえば、先月の人間ドックでピロリ菌の保菌検査もやってるんだった。こっちは結果が判るのが今月末になるそうで。どちらもどうなることか。