●『夜光虫』 横溝正史 角川文庫 読了。
華々しい道具立てと怒濤の展開でつづる通俗スリラー。器は現代を舞台にした探偵小説だが、内容は時代伝奇小説の味わいが濃厚である。見せ場は古風な形容を駆使してきちんと盛り上げ、まともに書けばそれなりのページ数が必要になる地味な事柄はさらっと処理して、まさに緩急自在。とんでもない偶然もなんのその、物語は終始テンションを維持して、フルスピードで突き進む。
読みながら取ったメモは三十項目ほどになった。これで明日の横溝読書会に臨む。それにしても、この内容でなぜ題名が「夜光虫」なのか、よく分からない。
●盛林堂さんから、お願いしていた目録が届いた。掲載の本はどれもいい値段なので、注文するかどうかは熟考を要するが、書影を眺めているだけでも楽しい。