累風庵閑日録

本と日常の徒然

『死への疾走』 P・クェンティン 論創社

●『死への疾走』 P・クェンティン 論創社 読了。

 面白い。実に面白い。その面白さの根幹は、不安感である。あるいは、不安定感と言ってもいい。今目に見えている状況を、そして人物を、確固たる事実としてそのまま信じていいのか。もしかして、根底からひっくり返ってしまうのではないか。味方と思っていた人物が、もしかして最大の敵なのではないか。あの行動はあの言葉はあの表情は、もしかして俺を騙すための謀略ではないのか。もしかして。もしかして。際限のない疑惑と戸惑いの連続が強烈なサスペンスとなって、ぐいぐい先を読ませる原動力になっている。

●書店に寄って本を買う。
エラリー・クイーン 推理の芸術』 F・M・ネヴィンズ 国書刊行会
『サンマの丸かじり』 東海林さだお 文春文庫