●『こびと殺人事件』 Ｃ・ライス 創元推理文庫 読了。
全体のテンポがとにかく速い。事件の謎があっという間にどんどん膨らんでいくし、状況をどうにかしようとする人々があたふたと激しく動き回る。序盤、最終的に死体が発見されるまでの展開など、特筆ものである。真相に至る流れも秀逸。あからさまで、シンプルで、決定的な手掛かりが提示されていたのに、ちっとも気づかなかった。また、探偵役マローン自身の物語がサブエピソードとして語られ、その内容にぐっとくる。読み所が多い、なかなかの傑作である。
●クレイグ・ライスは未読が多く、これから精々読んでいきたい。マローンシリーズは一応ひと通り買ってはあるのだが、なんたることか、名作の誉れ高い『大はずれ殺人事件』だけは未入手である。いつでも簡単に手に入ると思って放置していたら、このざま。なんとかしなければ。
