累風庵閑日録

本と日常の徒然

「夜歩く」の初出

神奈川近代文学館に依頼していた複写資料が届いた。雑誌『男女』、後に誌名が変わって『大衆小説界』に連載された、横溝正史の「夜歩く」である。とりあえず所蔵分すべて、連載五回分を入手した。

 目的は、最終章の改変の確認である。なるほど、ざっと眺めるだけでも後にかなり多くの加筆があったことが分かる。詳細な比較をいつかやらなければなるまい。

 ところで実物を目にすると、連載の実態に関する疑問が湧いてきた。「夜歩く」は途中で一度連載が途切れ、昭和二十四年四月号から再開するそうで。今回入手した二十四年七月号には、「続編第三回」の表記があった。ということは、続編第二回が掲載されたのは五月号なのか六月号なのか。

 もう一点。最終回は二十四年十二月号である。そこには「完結編」とあるのみで、連載第何回かが分からない。そして九月号には「続編第四回」とある。角川文庫のページ数から推測すると、両者の間には一回分の連載しか挟まっていないようなのだが。果たしてその推測は正しいのか。正しいとすれば、第五回が掲載されたのは十月号か十一月号か。

 生憎、この疑問に関わる号は、国会図書館にも所蔵されていない。雑誌の現物を持っておられるマニアの方に教えていただくしかない状況である。ううむ。