累風庵閑日録

本と日常の徒然

幽霊騎手

横溝正史の戦前中編「幽霊騎手」を読んだ。某氏から、「(伏字)」と基本設定が似ていると教えていただいたのだ。今回の目的は、その点を自分で確認することにある。

 一読してほほう、と驚く。設定が似ているどころか、主人公の外見描写も似ているし、さらには物語の骨子までが同じではないか。「幽霊騎手」をベースに、エピソードを削ってシンプルに仕立て直したのが、「(伏字)」だったのである。

 内容そのものに関しては、ホームズもの「四つの署名」の影響が濃厚である点が興味深い。