累風庵閑日録

本と日常の徒然

『月が昇るとき』 G・ミッチェル 晶文社

●『月が昇るとき』 G・ミッチェル 晶文社 読了。

 猟奇連続殺人を淡々と描く不思議な作風。だが、そういう奇妙さこそがグラディス・ミッチェルだと分かっているので、違和感はない。真相に至るロジックの妙を楽しむ、といった味わいには乏しいが、もともと期待してはいけないのだろう。主人公の少年達の、活き活きとした描写が素晴らしい。彼らの活躍と、ついでに彼らの目を通したミセス・ブラッドリーの行動を楽しむ作品。子供騙しではないジュブナイルとも言える。

 ところでこの作品の翻訳は、柏艪舎からも出ている。そっちも買ってあるはずだが、どこに仕舞い込んだものやら。