累風庵閑日録

本と日常の徒然

『新・本格推理03』 二階堂黎人編 光文社文庫

●『新・本格推理03』 二階堂黎人編 光文社文庫 読了。

 小貫風樹「とむらい鉄道」は、犯人の行動を予測するロジックが秀逸。結末にも感心した。青木知己「Y駅発深夜バス」は、第一部の不気味さと第二部の世界がひっくり返る様子と、どちらもよく書かれていて、要するに読んで面白い。大山誠一郎「聖ディオニシウスのパズル」は、アイデアを買う。今回はやや低調で、コメントしたいと思える作品はこの三作だけであった。

 この「本格推理」シリーズに対してはとっくに気持ちが醒めていて、途中からはただ鮎川哲也の名前だけで付き合っていた。この第三巻でそれも終わるので、個人的にはシリーズを読破した気分である。第四巻以降は無視。それにしても、ここにたどり着くまでが長かった。意識の高いミステリマニアの、熱意と鼻息の荒さに当てられがちであった。こういうギラギラしたマニア小説は、おじさんもういいよ。