累風庵閑日録

本と日常の徒然

七人の天女

●午前中は野暮用。

●用事から戻る途中、書店に寄って本を買う。
『怪盗ニック全仕事4』 E・D・ホック 創元推理文庫

●もう一冊気になる本がある。創元推理文庫久生十蘭『魔都』である。どうやらこの本、新青年の連載そのままってのがウリのようだ。だが巻末解説を確認すると、朝日文芸文庫版も新青年の連載を底本にしているらしい。そして、朝日文芸文庫は持っているのだ。にもかかわらず、今回の創元推理文庫版を買うべき理由が何かあるだろうか。念のため私の立ち位置を書いておくと、作品「魔都」を読めればそれでいいのであって、片言隻語の異同は重要ではない。

●三日前の日記に書いた、「片耳の男」の件。ありがたいことに某氏からコメントをいただいて、そのおかげで初出誌のテキストをすでに持っていることに気付いた。五年前の雑誌『月刊ジェイ・ノベル』に、原題の「七人の天女」として復刻されているのを、買っておいたのであった。すっかり忘れていた。

 早速中身を確認すると、予想通りと言おうか、初出版では兄の研究対象は「飛行機に関係がある」となっており、「國家にとつて非常に貴重なその發明」だそうである。それが角川文庫版では「とても大切な発明」、「非常にだいじなもの」となっている。「ヴィーナスの星」と同じパターンだ。そしてこの辺りのことは、復刻に伴う解説にきちんと書いてあるのであった。

 これで宿題をひとつ終わらせた気分である。