累風庵閑日録

本と日常の徒然

『鉄道旅に行ってきました』 酒井順子×関川夏央×原武史 講談社

●フィクションが続いたので、この辺りでなんとなく、ノンフィクションを読みたくなった。手持ちには、まさしく今読みたい気分の本がなかったので、図書館を覗く。で、借りてきた 『鉄道旅に行ってきました』 酒井順子×関川夏央×原武史 講談社 を読了。

 予想外の不思議な本であった。三人で旅行に出かけた顛末記ではあるが、いわゆる紀行文ではない。毎回の行先を題材に、あるいはそこから派生する話題について、とりとめもなく語り合った鼎談集である。実際の旅行の模様は、時折挿入される写真とそのキャプションとでわずかに触れられている。例外は末尾の三章で、三人がそれぞれ一人旅をした、これはちゃんとした旅行記であった。結局この三章が最も面白かった。全体として、特に気持ちが引っ掛かるような個所もなく、すいすいと読み終える。

 直球の旅行本ではなかったが、それでも旅行ネタではある。こういう本を読むと、自分でもどこかに行きたい気分がもりもりと湧いてくる。そして偶然にも、近いうちにちょいと出かける計画が進行中なのだ。楽しみである。