累風庵閑日録

本と日常の徒然

『殺しのディナーにご招待』 E・C・R・ロラック 論創社

●『殺しのディナーにご招待』 E・C・R・ロラック 論創社 読了。

 捜査関係者のみならず、登場人物の多くが事件についてディスカッションを繰り返す様子が楽しい。ただしそこで語られる内容は手がかりに基づいた推理ではなく、確たる根拠のない推測が多いのが少々心細いけれど。

 犯人がうっかり残した重大な手がかりは、あまりにも些細すぎるもので。結末部分で指摘された後、前のページをさかのぼってその記述を見つけるのにしばらくかかった。こういう、そんなの気付くわけないだろ、という手がかりは、作家の周到さと用心深さとがうかがえて割と好物である。

 ロラックを読むのは二冊目だが、実にきちんとしたミステリで、なかなか面白い。まだ長崎出版も創元推理文庫積ん読なので、先々楽しみである。

●ふと気付いた。今年はイクラ醤油漬けを作っていない! スーパーで生筋子を目にしてはいたのだが、そのうち、と思っているうちにあっという間に時が経ってしまった。ああ、もうシーズンを過ぎてしまったか。残念。次なる季節物、あん肝は忘れないようにしなければ。