累風庵閑日録

本と日常の徒然

『毒の矢』 横溝正史 角川文庫

●明日は仕事なので、今日は観光なしでさっさと切り上げる。早朝の名鉄で名古屋に向かい、八時半の新幹線に乗る。車内で読み残していた『毒の矢』 横溝正史 角川文庫 を読了。

ストーリーは原型版ほぼそのままで、伏線や心理描写が書き加えられることで完成度が大幅に向上している。原型版で不満だった(伏字)にも描写が追加されており、まったく満足。物語の結末もしっかり収束して、まさしく大団円といっていい。

脳天に鉄串をぶち込まれたようなショック、というのは横溝作品でお馴染みの形容だが、『毒の矢』に出てくる「心臓のうえにすうっと薄荷水をぬられたようなうすら寒さ」という形容にはあまり接したことがない。

●帰宅途中に書店により、『紫の謎』 松本泰 パール文庫を購入。

●そうそう、先日の日記に書いた野生時代は、野性時代の間違い。とあるツィートで指摘されるまで全く気付かなかった。