累風庵閑日録

本と日常の徒然

『ペン先の殺意』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『ペン先の殺意』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。

「名作で読む推理小説史」第三弾、文芸ミステリー傑作選である。井上ひさし「鍵」が個人的ベスト。やはりこういうミステリー味の濃い作品が好みに合う。芥川龍之介「疑惑」は再読。初読のときにも思ったのだが、語り手が滞在するこういう住居は、とても魅力的である。本を何冊も持ち込んで、四、五日滞在してみたい。

 その他個別の作品にコメントはしないが、面白かったものを題名だけ挙げておくと、大岡昇平「お艶殺し」、佐藤春夫「女人焚死」、松本清張「記憶」、倉橋由美子「警官バラバラ事件」、五木寛之ヒットラーの遺産」、村上春樹「ゾンビ」といったところ。今回は秀作が多く、なかなか楽しめた。