累風庵閑日録

本と日常の徒然

『江戸川乱歩と13人の新青年<論理派編>』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『江戸川乱歩と13人の新青年<論理派編>』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。

 編纂の基本方針が、乱歩による雑誌『新青年』のベストセレクションだそうで。収録されているのは、比較的メジャーな作家の代表作がほとんどである。そういう作品は、過去の様々なアンソロジーに収録されているわけで。本書の全十三編の内、なんと十編が既読だった。名作を優先的に選ぶというのは営業的な判断が働いた結果なのだろうが、個人的には、同じく乱歩が言及したもっとマイナーな作家のマイナーな作品を読みたかった。

 石浜金作「変化する陳述」は、苦笑していいのかそれとも痛みを想像して戦慄すればいいのか、どうもよく分からない面白さがある。米田三星「蜘蛛」は、よくある異常心理ものかと思いきや、この展開もこのラストも気に入った。