累風庵閑日録

本と日常の徒然

『M・R・ジェイムズ怪談全集2』 創元推理文庫

●『M・R・ジェイムズ怪談全集2』 創元推理文庫 読了。

 第一巻に続いて、まったくもって面白い。読者の想像を刺激しつつじわじわと不安感を高めてゆく書きっぷりが、安定の素晴らしさである。ただ第二巻は拾遺集の要素もあって、少々低調な作品も混じっているけれども。以前出ていた一巻本『M・R・ジェイムズ傑作集』の、作品選択の確かさと完成度の高さとを改めて実感する。

 気に入った作品は「ホイットミンスター寺院の僧房」、「ポインター氏の日記帳」、「丘からの眺め」、「猟奇への戒め」といったところ。後半の拾遺篇と未刊作品集は、そのほとんどが十ページ程度の小品で内容もあっけないものが多い。だがなかには異様なまでの傑作「鼠」や、ジェイムズお得意の筆法が濃縮されたような快編「ある男がお墓のそばに住んでいました」もあって油断がならない。