累風庵閑日録

本と日常の徒然

『達磨峠の事件』 山田風太郎 光文社文庫

●『達磨峠の事件』 山田風太郎 光文社文庫 読了。

「PartI」拾遺短編
表題作は、こんなオーソドックスなミステリを書いていたというのが意外。「天誅」は再読だが、何度読んでも強烈な怪作かつ傑作。

「PartII」ショートショート
気に入った作品を題名だけ挙げておくと、「女」、「鳥の死なんとするや」、「無用な訪問者」、「幻華飯店」といったところ。

「PartIII」ジュニア小説
その多くが戦前の受験雑誌に掲載された作品で、よくもまあ読めるようになったものである。今となっては三十年も昔、自分自身の受験期の、宙ぶらりんな不安感がまざまざと甦ってくるような内容で、ある種の恐ろしさがある。

 これでようやく、山田風太郎ミステリー傑作選全十巻を読み終えた。次は出版芸術社論創社か、まだまだ読みたい山風本が沢山積ん読になっている。