累風庵閑日録

本と日常の徒然

『江戸川乱歩の推理試験』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫

●『江戸川乱歩の推理試験』 ミステリー文学資料館編 光文社文庫 読了。

 掌編なのに手掛かりと推理とをきっちり描いている秀作が多く含まれていて、なかなかの好アンソロジーであった。以下、いくつかの作品にコメントを付けて挙げておく。

・型通りの密室ミステリが嬉しい渡辺剣次「とどめを刺す」
・後知恵ではあからさまに見える秀逸な手掛かりの土屋隆夫「九十九点の犯罪」
・これも指摘されて分かるあからさまな手がかりの千代有三「殺人混成曲」
・解決編で推理をきちんと積み重ねてみせる大河内常平「競馬場の殺人」
・よくあるネタをちょっと捻った多岐川恭「干潟の小屋」
・偶然か翻案かクイーン作品と同じネタの鮎川哲也「魚眠荘殺人事件」

 気に入った作品はこれだけではないが、長くなるので省略。さてこれで、乱歩ネタの六冊を読み終えたけれども、このシリーズはまだまだ積ん読が多い。新刊に追いつくのは当分先のことである。

●この日記をアップしてから、頃合いを見て電車に乗って東京に出る。今晩はオフ会があるのだ。