●『エドワード・D・ホックのシャーロック・ホームズ・ストーリーズ』 E・D・ホック 原書房 読了。
短編の名手ホックの才気がみなぎる好作品集である。聖典がらみの小ネタと史実に関連するくすぐりとが散りばめられているし、きっちり伏線を仕込んでロジカルな解決に導いているのが、読んでいて楽しい。ただ、小ネタやロジック志向があるからこそ、聖典とはちと違う味わいになっている訳で。
ポイントは、読者としてどの辺りに力点を置くかである。私はシャーロキアンではないので、少しばかりの違和感はどうでもいい。まず読んで面白ければオッケーである。そういった意味で収録作中のベストは、「サーカス美女ヴィットーリアの事件」であった。大量の伏線とトリッキーな真相が嬉しい。
●この日記をアップしてから出かける。今日は浅草の昭和モダンカフヱ&バー「西浅草黒猫亭」にて、横溝正史「黒猫亭事件」の朗読会が開催されるのである。