●横溝プロジェクト「横溝正史が手掛けた翻訳を読む」の第十回として、マッカレー『地下鉄サム』の続き。今日は六編読んだ。
「サムと悪童」
弟子入り志願の子供が付きまとって離れない。サムはすっかり調子を狂わせてしまった。
「サムとペテン師」
サムは掏り稼業に誇りを持っており、ペテン師のようなタイプの悪党は大嫌い。そんなペテン師から掏りのことを馬鹿にされ、サムは激怒した。
「サムの合資会社」
稼ぎ場の違う地下鉄サムと昇降機エルマー。景気不景気の波に備えるため、二人で助け合いの組合を結成した。後味の悪い話。
「サムと魔法財布」
ある日サムが掏り取った奇妙な財布は、どうやっても開けることができない。ナイフで切り裂けば中身を取り出すのは簡単なのだが、サムのプライドがそれを許さない。
「サムの友情」
クラドック探偵は、サムと名だたる悪党達とが何やら目論んでいる姿を目撃してしまう。すわ、大犯罪計画か。
「サムの自動車」
半ば衝動的に自動車を買ったサム。ところが、彼が買ったその車はとんだポンコツだった。
これでこの本の、地下鉄サムは読み終えた。一気読みすると飽きるだろうと思って、三か月もかけてゆるゆる読んできたのに、それでもだんだんと飽きてきた。結局、味わいが全部同じなのである。どうもこのシリーズは、さあ読むぞ! と思って手に取るものではないようだ。雑誌に一編だけ載っているのを、ふとした隙間時間になんとなく読んでみる、といった接し方が相応しいのかもしれない。
ところでこの本には、ビーストンの三編が同時収録されている。そいつらは来月読む。