●昨日の読書会の文字起こしと整理とで大分時間がかかってしまった。
●『藤雪夫探偵小説選II』 論創社 読了。
やはりこの作家の、地道、素朴、堅実な作風は好みである。ただし第一巻でも感じたことだが、時折挿入される情景描写が冗長に思えることがなくはないけれども。
こういうのも書くのか、という意外さの「黒い月」、舞台となっている土地周辺をぼんやりと知っているので、個人的にはその分だけ魅力三割増しな「遠い春」、などが気に入った。
「暗い冬」は面白く読んだが、突っ込みたいところがいくつかある。特に(伏字)は、少々都合がよすぎるだろう。その辺りをきちんと処理するには、五十ページのこの分量でもまだページが足りなかったのかもしれない。
中編「星の燃える海」はなかなかの力作。大量のアイデアが盛り込んであって密度が高く、中だるみしない。個々のアイデアの出来栄えは、正直言って特に感心するようなものではないが、全体の地道堅実な味わいを買う。ただ、アクションシーンは私の好みからすればあってもなくても大勢に影響の無い要素である。