●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第七回として、第二巻を読み始める。今回は「シヤアロツク・ホウムズの冒險」の前半六編を読む。訳者は延原謙。いまさら感想でもないけれども、いくつかコメントしておく。
「ボヘミヤの醜聞事件」は短編第一作だからか、キャラクターを特徴付けようと気を配っている様子がうかがえる。「花婿紛失事件」は結局、何も解決していないのでは。
「ボスコーム谷の惨劇」は地味な作品ではあるが、観察と推理と過去の因縁というホームズ譚の特徴がよく出ている好編である。「口の曲がった男」にはちょっとした伏線があることに初めて気付いた。迂闊なことである。