●『子供たちの探偵簿1 朝の巻』 仁木悦子 出版芸術社 読了。
まったく上質の短編集であった。子供が主人公だがジュブナイルではないミステリを集めた、全三巻本の第一巻である。「かあちゃんは犯人じゃない」と「誘拐犯はサクラ印」とは、さりげない伏線が上出来。「鬼子母の手」は、愚かで哀れで恐ろしい話。
きちんきちんと書かれてある「銅の魚」も好ましい。卑しい人間をちゃんと卑しく描いてある「石段の家」も佳作。「穴」のネタはすぐに気付くが、描写が恐ろしい。
読んでよかったし、続刊を読むのも楽しみである。