累風庵閑日録

本と日常の徒然

『一瞬の敵』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫

●『一瞬の敵』 R・マクドナルド ハヤカワ文庫 読了。

 家出した娘を連れ戻して欲しい。そんな単純な依頼は、読み進めるにしたがって次第に様相を変えてゆく。事件は拡大し複雑化し、多くの人の関わりが見えてくる。主人公リュウ・アーチャーは現在進行形の事件の調査と並行して、淵源を探って過去へと遡ってゆく。

 錯綜した人間関係の奥から浮かび上がってくる真相は、いつものロスマク流。だが本書ではなんとまあ、(伏字)ネタまで盛り込まれてあって嬉しい。

 読んでいる間面白くて、読み終えて満足。こいつは傑作であった。

●本を売りに行った。文庫と単行本とをダンボール箱一杯で買取値三千円なり。上出来である。