累風庵閑日録

本と日常の徒然

『薄灰色に汚れた罪』 J・D・マクドナルド 長崎出版

●『薄灰色に汚れた罪』 J・D・マクドナルド 長崎出版 読了。

 トラヴィス・マッギーシリーズを読むのは始めてである。人気シリーズだったというから、手慣れた感じで書かれた私立探偵小説の派生形だと思っていた。ところがその予想は大きく外れ、実際は土地と株とにからむ詐欺小説なのであった。これは面白いぞ。殺人の謎に対する扱いは軽いが、そもそもそっちに力点がないのだろう。終盤の展開なんかに上記の手慣れた感じが見えて、おかげでさくさく読める。

 といっても詐欺師が主人公ではない。友人の死に、どうやら土地の実業家や不動産業者やなんかが絡んでいるらしい。主人公は復讐として彼らに経済的ダメージを与え、なおかつ遺族にせめてもの利益をもたらしてやろうと活動を始める。そこに加わるのが一流の株屋や老練な弁護士、遺族の精神的支えとなる農場経営者などで、次第にチーム戦の様相を呈してくる。これは面白いぞ。

●お願いしていた本が届いた。
『Re-Clam vol.6』