累風庵閑日録

本と日常の徒然

『秘められた傷』 N・ブレイク ポケミス

●『秘められた傷』 N・ブレイク ポケミス 読了。

 二部構成の前半は、言っちゃあ悪いが特に特徴のないメロドラマ。祖国アイルランドを訪れた英国人作家が、ふとしたことから西部の寒村に滞在することになる。そこでの日々の生活と、周囲の人々との関係が語られる。

 でも読後感は悪くない。その理由はふたつ。ひとつは、そうくるか、という結末の処理。もうひとつは、あるふたりの人物の造形。ちょいと凄味があって悪くない。ひとりは犯人なので凄味があって当然のようなものだが、動機も含めて方向性が気に入った。