累風庵閑日録

本と日常の徒然

『殺しにいたるメモ』 N・ブレイク 原書房

●『殺しにいたるメモ』 N・ブレイク 原書房 読了。

 巻末解説によれば、この作品が長らく翻訳されなかったのは質とは無関係で、日本の翻訳のタイミングとずれたためであろうとのこと。全く頷けることである。実にもう、しんどくなるくらいロジックてんこ盛りのハードな作品であった。完全に流れを追えたかどうか、どうも自信がない。翻訳刊行は二十年以上前である。今より若く多少なりとも頭が柔軟だった当時に読むべき本であった。

 真犯人に関する意外さの演出がもう少々欲しいところだが、それは私の好みの話であって作品の出来の問題ではない。一方で終盤の意外な展開がスリリングであった。一番感心した伏線は(伏字)で、某人物の発言が嘘だったことを示す手際がお見事。

 時間があれば、真相と伏線と関係者の造形とを照らし合わせながら再読したいところだが、残念、他に読みたい本がいくらでもある。

●注文していた本が届いた。
『影を待つ女』 鷲尾三郎 東都我刊我書房
 ほぼ同じタイミングでロムニー・プリングルも注文したのだが、そっちが届くのは明日以降になりそうだ。