累風庵閑日録

本と日常の徒然

『駅猫』 上田廣 大正出版

●『駅猫』 上田廣 大正出版 読了。

 鉄道ミステリ六編を収録した個人短編集。主要登場人物が鉄道の職員だし、主な舞台が鉄道業界だったりするので、いわゆるトラベルミステリとはちと違う。

 多くの作品に、どうも荒っぽく思える部分が見受けられる。だが、欠点を探すような読み方では楽しめるものも楽しめなくなるだろう。気付いた点は自分の心覚えとして記録しておくが、非公開とする。

 上記を除くと、私好みの地道な捜査を描く作風で面白く読めた。収録作中のベストは、小道具についての発想がお見事な「梨と柿」である。他に気に入ったのは、最も鉄道ミステリらしかった「夜の触手」と、伏線がちょいと秀逸な「闇服」。

●書店に寄って本を買う。
『黒衣聖母』 芥川龍之介 光文社文庫
『白い陥穽』 鮎川哲也 光文社文庫

●注文していた本が届いた。
ロムニー・プリングルの冒険』 C・アッシュダウン ヒラヤマ探偵文庫