●『クレタ島の夜は更けて』 M・スチュアート 論創社 読了。
軽ハードボイルドという分類がある。さしずめ本書は軽サスペンスだろう。主人公を少年少女にして多少のアレンジを加えれば、ほぼそのままジュブナイルミステリになりそうな軽い味わいである。
つまらないわけではない。それどころか、今の私にはこのくらいがちょうどよく思える。集中力も記憶力も衰えつつある今、きっちりした謎解きミステリを伏線に気を配りながら集中して読んでゆくのは、どうもしんどい。
目の覚めるような意外な捻りもなく、その型どおりなサスペンスの盛り上がりはいっそ私好み。舞台となったクレタの風景描写がいい感じだし、ストーリーは軽快に進むしで、ちょっとしたものであった。