累風庵閑日録

本と日常の徒然

『温泉めぐり』 田山花袋 岩波文庫

●『温泉めぐり』 田山花袋 岩波文庫 読了。

 今後温泉旅行に行くときの参考にはなりそうもない。なにしろ初刊が大正七年で、時代が大きく異なっている。それに伴って環境も激変しているはずである。道路も交通機関も、なにより温泉地そのものも。当時は実用的な旅行案内書として書かれたようだが。

 それでも、名勝を愛で山野河海を眺める花袋の視線は、旅を楽しむ心構えとしては参考になる。本書で言及されている温泉に行ったうえで読むと、巻末解説にあるように、変わってしまったこと自体が旅を重層化する手がかりとなるだろう。私自身がに行ったことのある温泉地の記述は、過去の記憶を呼び起こすきっかけとなる。最も大きな効用は、温泉に行きたい気分をぐいぐい盛り上げてくれることだ。来月にでも具体化しようと思う。

●注文していた本が届いた。
『空っぽの劇場』 J・D・ベレズフォード 爬虫類館出版局
 初回発売の時には買い逃し、二回目の発売でぎりぎり注文が間に合った。その直後一瞬で売り切れていたから、二回目も際どいところだったようだ。