累風庵閑日録

本と日常の徒然

「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクト第二十回

●「改造社の『ドイル全集』を読む」プロジェクトの第二十回として、引き続き第四巻を読んでゆく。今回は、中編「コロスコ號の悲劇」を読む。

 ナイル川観光船「コロスコ號」が、回教徒に襲撃された。捕虜になった観光客一行は炎熱の砂漠のなかを、何処へとも知らず連れられてゆく。いつ殺されるかという極限状態で、人々はこれまでの人生を振り返り、もし生きて帰れたらと儚い明日を想う。極限状態で、人々はいろいろ考える。いかに生きるか。いかに死ぬか。信仰とは。誇りとは。

 ドイルの実直さが見えてくるような、真っ当で真っすぐな物語である。これがもし、現代的に簡潔な文体で書かれもう少し捻りや起伏が盛り込んであれば楽しめたかもしれない。申し訳ないがちと退屈してしまった。

●お願いしていた本が届いた。
ビーフと蜘蛛』 L・ブルース 湘南探偵倶楽部
『人肉の詩集』 楠田匡介 湘南探偵倶楽部
『決闘街』 大下宇陀児 湘南探偵倶楽部