累風庵閑日録

本と日常の徒然

『霜月信二郎探偵小説選』 論創社

●一夜明ければ新玉の春でございます。本年もよろしくお願い申しあげます。

●ホテルを八時にチェックアウトして、駅前のドトールでモーニングを喰って本を読む。

●『霜月信二郎探偵小説選』 論創社 読了。

 デビュー作「炎の結晶」が材料を詰め込みすぎて処理が追いついていないような出来なのに対して、白川エミシリーズの第一作「密室のショパン」は盛り込まれたネタがどれも上手く扱われていて、よほど秀逸である。本書中のベストであった。第二話「黄金の小指」は、小指を切った理由に意外なほどロジカルな味があってこれも良作。

 それはいいのだが、白川エミシリーズで描かれるユーモアというやつは、人物造形や会話も含めてどうも私にはピンとこない。また、情報の出し方や真相に到る筋道は、短編だからやむを得ないのだが少々荒っぽい。こうなると、アイデアの面白さを鑑賞する読み方になる。

 第六話「ロード」の犯行手段はちょっと感心するもので、そこに物語が付随しているのが読ませる。第七話「キャップ」は私の好みではない(伏せ字)ネタだが、方向性が意外。第九話「あうん」は、真相につながる現場の状況がなるほどと思う。

●せっかくだから八王子なり新宿なりを少しぶらつこうかとも思ったが、なんだか気分が乗らずまっすぐ帰宅。正月だから特別に昼酒をやる。肴はあらかじめ仕込んでおいた蕪の甘酢漬けと、焼き海苔、粒雲丹、板わさ。いい感じに酔って、これで私の正月は終わりである。

●今年の展望を書いておく。

 本は年間百冊も読めれば上出来。順調に読めて百二十冊というところ。できれば長崎出版のGEMコレクションを読み終えたい。

 伝染病の状況次第ではあるが、旅行は数カ所行きたいところがある。秋の倉敷のイベントが、今年は開催されるかどうかも大きなポイントである。横溝系のオフ会でも旅行の計画が持ち上がっている。

 横溝方面では同人誌を一冊出したいところだが、このネタは他のみなさまのご協力が必須なので実際はどうなるか分からない。読書会も開催したい。これまた伝染病の状況次第だが、会場を借りてリアルでの開催もなくはないと思う。