累風庵閑日録

本と日常の徒然

『魔術師を探せ!』 R・ギャレット ハヤカワ文庫

●『魔術師を探せ!』 R・ギャレット ハヤカワ文庫 読了。

 ダーシー卿ものの中編集である。このシリーズは、魔法関連の設定がひとつの読みどころ。魔法が万能だとつまらないので、ミステリとして成立するよう様々な制約を設けている。その辺りの理論の遊びが楽しい。

 収録作中のベストは「藍色の死体」で、題名にあるように死体が藍色に染められた謎が魅力的だし、その真相も悪くない。ミステリ的な趣向の面白さと魔法の設定の面白さとが、どちらも突出せずに絡みあっている。事件全体の真相もちょっとしたものだし、伏線も効いている。

 未訳の中編がいくつかあるようで、論創海外なんかで出してくれないだろうか。