●『女王蜂』 横溝正史 角川文庫 読了。
とあるきっかけがあって、多分三回目の再読。昭和二十六年に、雑誌「キング」に連載された作品である。「新青年」や「宝石」といったマニア向けではない一般向けの娯楽誌なので、正史はその辺も意識して物語を作っているようだ。関係者の行動タイムテーブルを整理して一覧にするような本格ミステリのテイストと、怪青年や変装した怪人物が出没するスリラーめいた要素とが混在している。それらのバランスが程よくていい感じである。
今回、真相を知って読むからこその面白さがいくつか感じられた。もちろん詳しくは書けないけれども、なぜはしゃいでいたのか、何に驚いたのか、ってな部分である。結末にたどり着いてから振り返るのではなく、今目にした何気ない記述の意味が分かるので、そこから凄味や不気味さが伝わってくる。
上記のとあるきっかけのため、今回はメモを取りながら読んだ。その辺りのことは、いつかもっと詳しく書ける日が来るかもしれない。今日のところはここまで。
●書店に出かけて本を買う。
『開化の殺人』 中央公論新社編 中公文庫