●『闇の展覧会-罠』 K・マッコーリー編 ハヤカワ文庫 読了。
怪奇小説アンソロジーの第二巻である。ラッセル・カーク「ゲロンチョン」は、完全無欠なる邪悪を体現する闇の司祭ゲロンチョンの恐怖を描く。こちらでいろいろ解釈が必要な捻った作品よりも、こういったストレートな味の方が好みである。T・E・D・クライン「王国の子ら」もしっかり書き込まれたオーソドックスなホラーで、ラヴクラフトを踏まえたなかなかの好編。
レイ・ブラッドベリ「見えざる棘」は、将来の破綻につながるはずの、日常生活のどこかに刺さっている見えない棘、という話。相手を理解していると思っていた認識がふとしたことで揺らぎ、不安感がじわりと迫る。
エドワード・ゴーリー「莫迦げた思いつき」やゲイアン・ウイルソン「罠」の不気味さもいい。