累風庵閑日録

本と日常の徒然

「髑髏検校」横溝正史

●今週末にオンライン横溝正史読書会が開催されるので、課題図書の「髑髏検校」を読んだ。スピーディーで波乱万丈で面白いんだけど、単独で語るのはちと難しい。展開は原典の「吸血鬼ドラキュラ」に負うところが大きいし、正史の換骨奪胎の腕前を鑑賞するのもそもそも原典ありきだし。どういうアプローチができるか、当日までにもうしばらく考えておく。

 作品単体での鑑賞ポイントとしては、戦後になって雑誌に掲載された短縮版との比較がある。終盤の展開がちょっと異なっているのだ。昭和十四年の初出誌との比較については、雑誌の所在が判明しているのが連載第一回分だけなので、ほとんど何もできない。それにそもそも、以前とったはずのコピーが見当たらないのであった。なんたることか。もう少し探してみてどうしても見つからなければ、読書会とは無関係に、また某公共施設にコピーを取りに行くことにする。