累風庵閑日録

本と日常の徒然

『アクナーテン』 A・クリスティー クリスティー文庫

●『アクナーテン』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。

 作品に描かれているアクナーテン王は、人間誰しも持っている欲、怠惰、邪念、執着、といった心性をあまりにも軽んじているようだ。人民の統治者としての器ではなかったのかもしれない。哀れなことである。巻末解説によれば、王の言動は脳腫瘍による奇行だという説もあるらしい。なるほど、と思う。