●『親指のうずき』 A・クリスティー クリスティー文庫 読了。
トミー&タペンスシリーズの第三長編である。ある老女が、老人ホームから退所した。やけに慌ただしく引っ越してその後連絡がつかなくなったことから、タペンスは彼女の身に何かあったのではと心配し、持ち前の行動力でもって追及を始める。手掛かりになるのがちょっとした一言やおぼろげな記憶、曖昧な噂話、といった辺りはいかにもクリスティーらしい。
真相はとびきり意外だが、その意外さはよくできたミステリに綺麗に騙されたのとはちょいと質が違う。えっ、そうなるのか、と思う。犯人の動機は戦後のミステリらしく、それに対して途中で浮上するある要素はまるでホームズシリーズのようだ。歪でとんがった佳作。
●注文していた本が届いた。
『畸形の天女/女妖』 春陽堂書店
合作探偵小説コレクションの第二巻である。