累風庵閑日録

本と日常の徒然

「人形佐七捕物帖 ふり袖屋敷」

●昭和三十五年の東映映画「人形佐七捕物帖 ふり袖屋敷」を観る。若山富三郎演じる人形佐七はやけに顔立ちが濃い。棒術が得意で肩に紋々を背負っているなんざ、ずいぶんと設定を変えたものである。大泉滉が子分の辰五郎を怪演している。題名の元になった振袖を着た幽霊だとか、古井戸から生首だとか、ちょっとした怪談仕立てで序盤はなかなか快調。だが真相は強引とも安直とも、どうにも。そりゃあそうだ、娯楽時代劇に凝ったストーリーは禁物である。

 スムーズな話の流れを断ち切ってまで舞台の踊りを見せる演出も、要所要所で佐七が立ち回りをやらかす展開も、いかにも昔の娯楽時代劇らしくて微笑ましい。原作は横溝正史となってはいるが作品名の表記がないので、元になった小説があるのかどうか判然としない。仮にあったとしても、なにしろ原作小説の数が膨大だしおそらくかなりのアレンジもされているだろうし、見極めは難しい。

●佐七映画の鑑賞に一時間ほど時間を使った以外、終日に渡って昨日やった横溝読書会の文字起こしに取り組む。もちろんそんなに集中力が続くはずもなく、休み休みで実働時間ははるかに短いけれども。今回はグーグルドキュメントの自動文字起こし機能を使ったので、今までよりもはるかに効率よく作業ができた。