累風庵閑日録

本と日常の徒然

『シャーロック・ホームズの恩人』 長沼弘毅 家の光協会

●『シャーロック・ホームズの恩人』 長沼弘毅 家の光協会 読了。

 ホームズの恩人として、ホームズの産みの親コナン・ドイル、ドイルがホームズのモデルにしたというベル教授、小説内でホームズに探偵稼業を勧めたトレヴァー老といった人々を論じる本。現実世界でドイルが関わったジョージ・エダルジ事件やオスカー・スレーター事件の詳細を知れたことは、大きな収穫であった。なんとおぞましく、馬鹿馬鹿しく、後味の悪い事件であることか。そしてドイルの、こうと信じたことには断固として突き進む熱意と行動力とは、心霊研究に対する姿勢にも現れているのだろう。

 ベル教授がホームズのモデルだという話も関連する教授の逸話も、様々なシャーロキアン本で読んだことがある。本書では第四章「ジョセフ・ベル教授のこと」にて、特に詳しく多彩なエピソードを載せている。知らなかったネタが多く、その点も読みどころである。