累風庵閑日録

本と日常の徒然

『紅鶴提燈』 島本春雄 捕物出版

●『紅鶴提燈』 島本春雄 捕物出版 読了。

 振袖小姓捕物控の第二巻である。第一巻を読んだ経験から、期待値をかなり下げて臨んだ。少々いい加減でもずっこけていても、どんとこいである。物語の途中で発生する殺しは本筋とはなんの関係もなかった、なんて真相を読まされてもどうということはない。全体的に荒唐無稽でハチャメチャで、もうなにがなんだか。

 主人公美祢太郎に敵対するのは、赤い毒砂を使う怪老人。毒独楽を自在に操る怪浪人。禁じられた冥府の邪曲を奏でる魔笛小姓。魔鏡で男をたぶらかす鏡小町。盲弓、盲手裏剣、盲眼術、盲杖、といったものを包含する総合武術盲術の手練れで盲目の剣士。忍術幻術入り乱れ、秘剣魔剣が馳せ違い、捕り縄は空を奔り、刃を仕込んだ簪は喉に迫る。いやはや、自由奔放やりたい放題である。あまりの馬(伏字)しさに到底一気に通読はできず。細切れに読んで半月かかってしまった。

 例外的に「執念の呪殺面」は驚く内容であった。なんと死体消失の不可能興味を扱っているのだ。しかも関係者の行動を箇条書きにして、事件現場の屋敷の構造を勘案しつつ、それぞれの犯行可能性をじっくり検討してゆくのである。真相にはちょっとしたトリックが使われているし、そのことを示唆する伏線も仕込まれている。全体が堅実なミステリに仕上がっているのであった。島本先生ってばこんなのも書けるのか。シリーズ中の異色作である。

●予約注文していた本が届いた。
『探検!「髑髏城」』 篠田真由美 森咲郭公鳥